♪もう一度演奏会で聞きたい曲~ブリテン作曲「戦争レクイエム」~
もう30年が経ちます。私が社会人になって2年目の夏(1976年7月)、この曲と初めて出会いました。
学生時代の友人が、合唱メンバ-として参加するというので、
大阪での演奏会に足を運び、とても感動したことを覚えています。
それ以来、気になる曲の一つになり、
当時合唱団に参加した友人からいただいた記念文集とともに、合唱スコアを手に、時々CDを聞いています。
第二次世界大戦時にナチス・ドイツの爆撃によって破壊されたカテドラルの再建を祝して1961年に作曲され、翌年1962に初演。平和主義者であったブリテンの戦争への憤りと平和への希求が込められた作品です。
ソプラノ、テノール、バリトン、混声合唱、児童合唱、オーケストラ、室内オーケストラ、オルガンによって演奏される大規模な作品(全6楽章/演奏時間約1時間25分)。
初演ではソリストとして、先の大戦で敵味方に分かれた英・独・ソ三国の歌手の起用が試みられます。(もっとも初演では急遽都合で実現せず、レコ-ド録音で実現します。)
典礼に用いられるラテン語の歌詞とともに、第一次世界大戦で若くして戦死した英国の戦争詩人ウィルフレッド・オーウェンが戦場での体験をもとに綴った英語詩が用いられ、戦争に対する悲痛な叫びと平和への祈りとが交互に現れ、劇的に展開します。
そのスコアの冒頭には、オーウェンの一句が記されているそうです。
「私の主題は戦争であり、戦争の悲しみである。
詩はその悲しみの中にある。
詩人の為し得るすべてのことは、警告を与えることにある。」
そして次のペ-ジには「追憶のために」として、4人の海軍軍人の名前が記されています。
この曲にこめた作曲者の熱い思いがひしひしと伝わってきます。
特に印象に残るのは終楽章でしょうか。
切々と歌うバリトンソロ。
「戦争も届かない深い深い井戸の清らかな水で、血に汚れた戦車を洗おう」
「私は、君が殺した敵なのだ。友よ!」
ソプラノ「永遠の安息を」(ラテン語)とテノ-ル・バリトンの「眠ろうではないか」(英語)の三重奏、そして鐘の音と児童合唱の後、深い静謐のうちに「Amen」で全曲をとじます。
こんな時代だからこそ、いつかまた、ぜひ生の演奏で聞きたいと思います。
[参 考]
・外山雄三指揮、大阪フィルハ-モニ-交響楽団、フロイデ合唱団の演奏会 1976.7
この演奏会には、作曲者ブリテンからのメッセ-ジが寄せられていましたが、
演奏会後、記念論文集の最後の校正作業をしているときに、ブリテンの訃報に接したと記されています。
その意味から、作曲者の生前、最後の演奏であり、作曲者自らのためのレクイエムともなった
記念すべき演奏会に立ち会ったことになります。
・曲解説全集 声楽曲Ⅳ 音楽之友社
・CD解説書:「戦争レクイエム」 ロバ-トショウ指揮、アトランタ交響楽団と合唱団 TCD-2001~2
(掲載写真のCDではありません。)
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