異文化理解に欠かせない“双方向と多様性”
<自分が思っているほどには、他人は自分のことを思っていない。「世界という鏡」に映った自らの等身大の姿を知ること。
全てはそこから始まる。>
こんな問題意識からとりまとめられた書です。
果たして日本は国際社会において“名誉ある地位”を占めているのでしょうか。
ここで海外のメディアが紹介している内容を見る限り、否といわざるをえません。
■イギリス:ハイテク・トイレに驚き、痴漢を笑う 日本の社会風俗に「未来」を見る
日英同盟を知らない むしろ第二次世界大戦中の英国人捕虜問題
日本批判の定番 捕鯨問題
■フランス:経済の国と文化の国の逆転 消え行く“幸福なエキゾチズム”
関係はあっても政治はない アメリカとの距離から日本を見る
■ドイツ:「日本の二の舞」にはなりたくない 経済無策への冷ややかな視線
明治時代以来、日本の知識人はドイツの技術や文化に強い関心を示してきたが、
ドイツが日本に対して、同じくらい強い関心を抱いたことは一度もなかった。
「関心の一方通行」
■アメリカ:小泉は「沈みゆく船」の船長だ 「日本叩き」から「日本無視」
優秀な選手を呼び込めるメジャ-リ-グ、ひいては米国の自賛
アメリカがどうしても譲らないもの 商業捕鯨 戦後処理問題
日本の外交の主体性と日本の存在感のなさによる安定
■アラブ世界:アラブは「ヒロシマ」をどう理解したか 通じない「戦後平和主義」
東洋の神秘とテクノロジ- 欧米経由のイメ-ジ
ヒロシマ、ナガサキ 原爆を投下した米国批判
■中 国:メディアが煽る「反日感情」 ネット上でも広がる「歪んだ日本像」
過剰な反日感情を抑える声も出始めた中国 若い世代に日本大好き現象
少ない日本情報、低い日本への関心
民族蔑視事件に発展した日航事件(2001.1)
■韓 国:新世代が主導する「新しい日本」 過去にとらわれないナショナリズムの出現
反日と嫌韓を超えて
<メディアによって作り上げられたイメ-ジによって、外国の人や事情を認識している。
海外のメディアが日本人が気づかない視点を提供してくれている場合には、
その視点を社会に生かせばいい。
事実誤認や誤解に基づいている場合には、そうならないよう対策を考える。>
そのために<戦略的な情報発信により望ましいイメ-ジ形成を行う>ことが重要だと指摘します。
国内の新聞でも一紙に目を通すだけでも大変なのに、海外のメディアにまでとなれば、これまた大変なことです。この本の編集分担にもみられるように、一人の力では、時間的にも、能力的にも到底かないません。
国内の某新聞では、「世界の論調」というタイトルで海外メディアの社説を時折取り上げていますが、貴重な取り組みだと思います。その意味から、もっと充実させてもいいのでは。
と同時に、日本のメディアが私たち日本人に、世界をどう報道しているのか。
偏見や独善的な視点に陥らず、ロ-バルな観点から冷静な報道がされているのか、
自己点検が必要ではないか。
いずれにしても異文化理解には、“双方向と多様性”の視点が欠かせないことをあらためて感じたしだいです。
[参考]
「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと
努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」
(日本国憲法前文より)
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